アンティーカがウタう世界にかいぶつはいない。ー「かいぶつのうた」を読んで

こんにちは、Avinです。

 

みなさんはアンティーカのキャッチコピーをご存じでしょうか。

 

回せ、錆びついた運命の鍵を

胸に燻る焔を「ウタ」に、孤独な泪を「ネガイ」に変える、新世界の革命的アイドルユニット。ゴシックなドレスを纏い、彼女たちは希望を謳い続ける―。

 

 

今回のイベントシナリオ「かいぶつのうた」を通して、私はこのキャッチコピーをようやく自分の中でストンと落とすことができました。

 

胸に燻る焔、孤独な泪、ウタとは、ネガイとは。

 

よろしければ最後までお付き合いください。

 

 

全体の構造とあらすじ

 

若干時系列が前後しているところもあるので、振り返りも兼ねて以下に整理します。

 

導入:ハロウィンライブツアーの決定

    このシナリオは日々を綴った”きろく”

 

記録・1 オリジナルゲーム「怪物探し」のルール説明

記録・2 霧子とダンストレーナーの雑談

記録・3 インタビューを通じた動物さん性格診断

 EX1:御子柴と雨竜 ”ふつうじゃない” アンティー

記録・4 街中におばけのような怪物を見かける

記録・5 「怪物探し」のインストラクション

記録・6 オルカドサーヴァント衣装での撮影

記録・7 クッキー経費で落ちる?

記録・8 撮影後に雑談

記録・9 SNS用に追加で写真

記録・10 恋鐘「摩美々は魔法使いみたい」

記録・11 怪物探し 1日目の投票

記録・12 怪物探し 2日目の投票

記録・13 怪物探し 最後の投票

記録・14 怪物探し 結果

記録・15 怪物探し エピローグ

記録・16 怪物とは?1+ クイズ収録 

記録・17 収録語打ち上げ 御子柴登場

 EX2:プロデューサー回想1 おばけについて

記録・18 仮装の衣装決め

記録・19 台本の打ち合わせ

記録・20 「怪物探し」は誰がつくったのか?

記録・21 ライブの衣装合わせ

記録・22 結華の仮装・ジンについて

記録・23 怪物とは?2

記録・24 監督が怪物のフリを

記録・25 ハロウィンライブ

 EX3:ライブ会場に現れるおばけ

エピローグ 御子柴と雨竜のこれから

 

今回のイベントシナリオは、新規キャラクターである「雨竜」「御子柴監督」が軸となっており、雨竜の”きろく”という形で綴られます。

プロデューサーが関わるのは”おばけ”に対してのみ。

 

つまり、アンティーカを別のキャラクターに俯瞰させることによりその本質に迫っている、そんなシナリオです。

 

それでは、内容について詳細をみていきましょう。

コミュの解説

雨竜について

 雨竜はアンティーカの5人の要素を併せ持った人物だと言えるでしょう。

 ただし、283プロに、みんなに出会えなかったアンティーカの将来を暗示しているキャラクターです。

 

 世界に認められるような才能・感覚をもち、


 結華や摩美々のような気づかいをすることができる

 けれど表にでることは怖くてできない、 

 

そんな人物にアンティーカはどう映ったのか、どんな影響を受けたのか。

 

これがシナリオの重要なポイントです。

 

”怪物”とアンティー

タイトルにもなっている”かいぶつ”。

”怪物探し”は雨竜が発案したゲームであり、シナリオ中の意味もほぼそれと同一でしょう。

 

なんらかの理由により自分は他の「ニンゲン」とは違うと感じ「ニンゲン」

のフリをして生きているもの。

「ニンゲン」にひとたび察知されてしまえば異物どして排除されるだろうもの。

 

それが”怪物”です。

 

恋鐘以外のアンティーカは、283プロに出会う前はまさに”怪物”だったと言えるでしょう。

 

髪を紫に染めるくだりは【パープル・ミラージュ】で詳細に描かれています。

そして今回、紫の背景で改めて提示されることに。

あれはニンゲンを威嚇して距離をとるための擬態でもあったと。

 

 

人とのつながりを求めて相手の願いを叶えようとした結果、孤高と捉えられてしまったモデル時代の咲耶

 

常人には理解できない世界観を表に出して否定されるのを恐れ、普段はそれを隠すすべを身に着けた結華

 

霧子もまた、その独特の世界の捉え方から周囲に溶け込めなかったことはこれまでのコミュから推測できます。

霧子の話だけでも記事にできるレベルで、余白が足りないので省略させてください。

 

才能豊かな彼女たちは、アイドルにならずとも成功できたでしょう。

しかし、雨竜のように孤独に生きていかなければならなかったかもしれない、そんな未来が示唆されています。

 

御子柴について

雨竜がアンティーカのあったかもしれない未来の暗示であるならば、御子柴はプロデューサーの立場、そして特殊な才能をもたない存在として描かれています。

 

雨竜のことを考え手を差し伸べながら、様々な形でサポートを続けています。

”怪物”の気持ちを少しでも理解しようと街に繰り出す様は印象的でした。

 

それが必要なら、シャニPもまた手を差し伸べ続けるのではないでしょうか。

例えいつまでも手を取ってもらえなかったとしても。

 

”怪物”を救うには

”怪物探し”は雨竜が考案した、”怪物”からみた世界を表したものです。

 

誰に害を与えるわけではないけれど、ひとたび”怪物”であるとわかってしまえば追い出されてしまう存在。

 

そんな悲しい存在を咲耶は救おうと考えますが、ただ”怪物”の前から立ち去ることしかできませんでした。

御子柴にもはっきりと咲耶では救えないと言われてしまいます。

 

アンティーカは、一人一人が相手を救おうとする心をもっていまます。

しかし、「自分のことをを救おうと思っていない人」を救うにはどうすればいいのか。


かつては”怪物”として苦しんでいた彼女たちはどうやって立ち直ったのか。

自分自身を救う覚悟を手に入れることができたのか。

 


それは、5人がユニットを組めたからなのでしょう。

 

咲耶だけでは救えない”怪物”

 

もしも”怪物探し”で一人残った”怪物”にアンティーカならこう語りかける、と最後に示されています。

 


咲耶が愛情を伝え、結華が道を整え、摩美々が寄り添う。

そこに恋鐘が手を差し伸べて、霧子が包み込む。

 

自分を救うことができない誰かに前に進む力を与えてくれるアイドル。

これこそがアンティーカが示す偶像の形なのではないでしょうか。

 

アンティーカはこれまで、感謝祭、ストーリー・ストーリー、見て見ぬふりすくって等を通して、お互いすれ違いながら、一歩間違えば壊れてしまいそうな状況をお互いが支えあうことによって乗り越えてきました。

 

そしてこの一連のセリフ。

まるで彼女たち自身の過去に語り掛けているようです。

 

そうやって今にたどり着いた彼女たちだからこそ、”怪物”の救い方を示せるようになった。

私はそう思います。

 

 

ここで、アンティーカのキャッチコピーをみてみましょう。

 

胸に燻る焔を「ウタ」に、孤独な泪を「ネガイ」に変える、新世界の革命的アイドルユニット。

 

誰かと一緒に居たいという気持ちを「ウタ」にのせて、でも”怪物”であるとニンゲンにばれたくないという泪を手を差し出せるように「ネガイ」に変えてくれる。

 

回せ、錆びついた運命の鍵を

閉じこもってしまった誰かの、心の鍵を開いてくれる。

 

それがアンティーカなのです。

 

”おばけ”の正体

ここまでの話から1つの疑問が浮かびます。

”怪物”であることに苦しむのは才能あるものだけなのだろうか、ということです。

 

アンティーカも雨竜も、才能があるがゆえに自分は”怪物”ではないかと苦しんでいました。

 

ただ、「この自分が”怪物”かもしれない」という恐れはきっと一般的なものです。

 

「私はどこかニンゲンとは違うのではないか、”怪物”なのではないか」という恐れは、きっと大小の差あれどみんな感じているものなのでしょう。

 

そしてアンティーカはそんなみんなに手を差し伸べてくれる。

 

その象徴として、特別な才能はないかもしれないけど自分を”怪物”だと思っている存在、”おばけ”がこのイベントコミュには必要でした。

 

さらに、この”おばけ”にはもう一つ属性があります。

それは、「こちら」の世界の存在ではないということ。

アンティーカがたどり着けない「向こう」の存在だということ。

 

ハロウィンの世界もその一つです。

 

ですが、私はここにはもう一つ、「私たちの世界」つまり現実世界の”怪物”もまた”おばけ”が示すもの含まれているのではないかと考えています。

 

確かに、アンティーカは、シャイニーカラーズはゲームの世界のお話です。

決してこちらの世界に現れることはありません。

 

でもきっと、現実世界で「自分は”怪物”なのではないか」と苦しんでる人にもまた、アンティーカは、シャニマスはよりそってくれるのでしょう。

 

自分を救うためには、自分で助けへ向かって手を伸ばすしかありません。

そのネガイが湧いてくるまで、きっとアンティーカはウタを届けてくれます。

 

トリックオアトリート!

あなたの人生が希望に満ちますように。

 

雨竜と御子柴のその後

アンティーカがウタう世界には、”かいぶつ”はいません。

みんなおなじニンゲンです。

 

そのライブに立ち会った雨竜もまた、自分が”怪物”ではなくなれるのかもしれない、という希望を受け取ったはずです。

 

雨竜は最後にこうつぶやきます。



差し伸べられた手を掴めたとして、それだけで救われるわけではありません。

アンティーカのみんながそうであったように、それは始まりでしかありません。

 

でも、今の雨竜にはきっとそのネガイが心に宿っているはず。

 

遠くない将来、ニンゲンとして表舞台に立つ日がくると信じています。

 

でも残念ながらそれはアンティーカのお話ではありません。

作中で語られることはないでしょうが、彼女の未来はきっと明るいものになるでしょう。

 



まとめ

回せ、錆びついた運命の鍵を

胸に燻る焔を「ウタ」に、孤独な泪を「ネガイ」に変える、新世界の革命的アイドルユニット。ゴシックなドレスを纏い、彼女たちは希望を謳い続ける―。

 

自分を表現できずに思い悩んでいた5人が集まって結成したアンティーカ。

様々なすれ違いを乗り越えて、今の彼女たちは自分の救い方がわかるようになりました。

 

そんな彼女たちだからこそ、誰かと繋がりたい想いを「ウタ」にのせて、誰かの孤独から抜け出したい気持ちを「ネガイ」に変えられる、そんなアイドルになれたのではないでしょうか。

 

雨竜の”きろく”とは別に、このお話は光が差す空と、虹がかかる空で締めくくられます。

エンディング うたう ラストシーン

【吼・吼・熱・々】幽谷霧子 あちちがおー ラストシーン


きっとこの結末は、今のアンティーカだからこそ導けたものでしょう。

空は澄み、今を越えて。

この先も向けてどんどん飛んでいくアンティーカを、ファンとして、担当Pとして一緒に進んでいきたいというネガイを込めて、まとめとさせてください。